上毛新聞オピニオン5回目

今回は4月から通っている「群馬イノベーションスクール」に関連して書きました。

今年に入ったくらいから、これからどんな方向を目指して音楽をやっていくのか、これまでの経験を生かせて、自分のやっていきたい方向はどこなのかということを考えていました。

4月掲載の前々回には音楽と仕事というテーマで書きました。こちらから。

今までももちろん考えてはいるのですが、少し新しいステージというか、何か新しい方向を考えようとしていました。

そんな時にこのスクールがあることを知り、お世話になっている方に応募してみたらと勧められ、応募しました。

選考があり、その講義内容などについてはまた改めて書きますが、無事通り4月から参加させてもらっています。

主にはイノベーションという名前の通り新しい組み合わせで、新しいことをやろうという内容です。

教室をあまりビジネスライクにしたくは無いですし、クラシック音楽という観点からもビジネス?との思いもあるので、それぞれのビジネスモデルの例などは納得でき面白くとも、それを自分に置き換えるのが難しく、でもその中での新たな気づきについて書いています。

以下が記事とテキストです。

学び続けて新たな発見 / 伊藤 正

最近、沢山の本を読んでいます。群馬を拠点に音楽活動を始めて10年ほど。そろそろピアノの新しい方向を探りたいと考えて、GIS(群馬イノベーションスクール)に参加していることがきっかけです。

名前にイノベーションと入っているように、新しい考えで、社会課題の解決をしようという趣旨で、内容はMBA(経営学修士)に近いものだそうです。イノベーションとは異なった業種の新しい組み合わせなどで起こること、そして何よりも大切なのは経営理念を持つこととのことで、内容は納得できる概念やモデルばかりで、それぞれの事例なども含め毎回の講義ではとてもワクワクしています。

新しいものを生み出すというと、先進的なITの技術と組み合わせて考えることが多くなります。ただ、ピアノ演奏や教育とITとなるとなかなか難しい。アコースティックなピアノだからこそ、音を届けることに関してはオンラインなどではなく、本質的にリアルでの体験を前提で考えたい気持ちが大きいこともあります。

結局そこで行き詰まり、自分が何をやりたいのか、何を面白いと感じているのかを原点に戻って突き詰めて考えてみました。ピアノを演奏すること、またレッスンでそれを伝えることについては、身体の使い方、楽譜の深い読み方、演奏時のマインドなども含め、沢山の知識も付けて実践も重ねてきました。また、教室の経営やイベントの企画についても、マーケティングや会計のことも勉強し役に立っています。

その上で何が一番かと考えた時、ピアノを学ぶこと自体、そしてそれがその後どうに役に立つのかということに興味を惹かれていることを「発見」しました。どういうことかと言うと、子供であれ大人であれ、ピアノを学ぶことによってどんな能力を伸ばすことが出来て、それがどうに自分自身に、また社会に役に立つのかという視点です。

ここでやっと方向が定まりました。ピアノを学ぶことで楽器が演奏できるようになるだけでは無く、その他にもどんなメリットがあるのか。つまり音楽プラスαの部分です。最近では、大学の教養過程でも、基礎的な教養を身につけるという関連で音楽が語られることも多く、ピアノは音楽の基礎と位置付けられるので、そんな方向の意味づけを出来るのではと考えています。

日々の仕事をしていると目の前のことをこなすことに気持ちが向いて、中々改めて勉強する機会を作ることが出来ません。ただ、その中でも学ぶ機会を積極的に見つけ、またその機会があるのはとてもありがたく大切なことだと感じています。人生100年時代、新しい考えを常に取り入れていくことが必要だと思っています。

今回のGISが突き詰めて考える大きなきっかけとなり、初めに漠然と想像していたイノベーションという意味とは少し違いますが、新しい方向性が朧げながら見えてきたというのは私にとって大きな成果です。また、新しい人との繋がりの中で、多くの発見もあります。読者の方で、音楽に関連して社会の役に立てるアイディアがあれば是非一緒に創っていければ嬉しいです。

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