先日あるコンクールで審査員をしました。みんな時間をかけて練習してきているのにそれを評価するのはなんだか申し訳ないのですが、アドバイスの様な気持ちでいろいろと書きました。
評価の基準をどこに持ってくるのかで評価自体が変わってきます。基本的な技術がしっかりできているか、音楽に対する感性、表現の大きさ、などどれを中心にして判断するかです。コンクールの場合、いかに大きく音楽を表現するかがポイントに感じます。
しっかり丁寧に勉強するというのが絶対に長い目で見て一番良いと確信していますが、コンクールだとそれに「表現してますよ」という味付けが必要になってきます。
たとえば小さな子は力もまだ弱いし、手も小さいし、そんなに派手なことはできません。でもコンクールではおとなしく弾いているだけではだめで、アピールが必要です。そのバランスが難しいと思います。
ヨーロッパで勉強しているときに、多くの先生と話しをしたり、多くのピアニストを聞きました。そのとき、音楽での大げさな表現というのはドイツ語で言うguter Geschmack「良い趣味」では無いとされます。品が良くないというようなニュアンスです。
もちろんその曲の持っている表現は大いにするべきだし、音楽する気持ちは最も大切なものです。きちんとした基礎と、良い音楽を求める気持ち、それがあれば素晴らしい演奏ができるはずです。
tadashi